2000 Fiscal Year Annual Research Report
シンガポールにおける多文化主義に関する研究-パーソナル・ネットワークの視点から
Project/Area Number |
11710174
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Research Institution | Bunka Women's University |
Principal Investigator |
糸林 誉史 文化女子大学, 服装学部, 講師 (60301834)
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Keywords | シンガポール / 多文化主義 / ネットワーク分析 / マレー / ナショナリズム / エスニシティ / 文化研究 / バウェアン |
Research Abstract |
1.「多文化主義の再検討」に関して、「アジア的価値」から「家族価値」までのシンガポールの文化政策の側面をコミュニタリアニズム対自由主義の観点から新保守主義の政治思想の流れに位置づけた。 2.HDB(住宅開発庁)によって1960年に着手された全国公共住宅プログラムが、カンプン居住者をつぎつぎと高層住宅団地に再定住させた結果、人々の日常性に大きな変換が生じた。それは空間の「画一化」、「均質化」や「場所性の喪失」であり、1990年代初めにはカンプンへの郷愁をめぐってストレスの政治化という問題が大きな議論を生んだ。この都市論的な空間の変換を紀要論文にまとめた。 3.「パーソナル・ネットワーク法」に関して、質的調査ソフトウエアとして定評のあるQSR社からNvivoを購入して、方法論としてのフィールドワークの批判的検討のための活用を試みた。この成果は、パーソナル・ネットワーク法の持つ機能主義的な着想による「本質主義」的な調査法の持つ問題点を本年度の紀要論文にまとめる予定である。 4.都市人類学分野におけるパーソナル・ネットワーク法の応用研究として、早稲田大学人間総合研究所の特別研究員としてアジア太平洋諸国における高齢化の比較研究のプロジェクトに参加した。本年8月にはシンガポールの研究分担として現地の研究者とともに高齢化の比較調査に着手する。
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