1999 Fiscal Year Annual Research Report
独立後のペルーにおけるインディオ像と歴史観の関係をめぐる研究
Project/Area Number |
11710176
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Research Institution | Kyoto Bunkyo University |
Principal Investigator |
細谷 広美 京都文教大学, 人間学部, 講師 (80288688)
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Keywords | 歴史 / 記憶 / ペルー / インディオ / 国民国家 / インカ / 植民地 / ラテンアメリカ |
Research Abstract |
ラテンアメリカにおいては征服以前(インディオ)と征服以降(インディオ、メスティーソ、白人、黒人)では歴史の主体が異なっている。このため、独立後のペルーにおいて国民国家を形成していくうえでは、国民を時間的レベルで統合するうえで、征服以前と征服以降を接続した国家の歴史をいかに構築していくかが重要な課題となった。本研究は、植民地宗主国であるスペインからの独立後のペルーにおいてどのように国家の歴史が構築され、その中でどのようなインディオ像が作られてきたかということから、インディオ像とインカ帝国イメージは様々な形で結びついてくる。本研究ではこうした関係も明らかにしていく。 本年度はこれまで収集してきたデータの整理を行うとともに、文献調査においてはチリとの太平洋戦争で敗北した後、本格的に国民国家建設への道を歩み始めた19世紀末から20世紀初頭における、官製インディヘスモと国民統合の関係、当時のペルー国内における社会運動との関係について資料収集と分析を行った。さらに今後はペルーでのフイールドワークとあわせて20世紀全体を通じての文献調査をおこなう予定である。 また、国立民族学博物館内の地域研究センター主催でおこなわれた国際シンポジウム「ラテンアメリカ」における国民国家、エスニシティおよび民主主義」においてペルーにおける国民国家と国家の歴史、民族の記憶の関係について発表をし、各国から集まった研究者からコメントをもらうと同時に意見交換をおこなった。さらに、京都文教大学人間学研究所主催でおこなわれている共同研究会「植民地主義と人類学」、国立民族学博物館主催の共同研究会「歴史の人類学的考察」等でも発表をおこない、様々なコメントをもらった。
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