1999 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムの近代化における「語り」-南部村部の事例による文化人類学的研究
Project/Area Number |
11710177
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
萩原 修子 熊本学園大学, 商学部, 講師 (60310033)
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Keywords | ベトナム / 南部村落 / カトリック教会 / 近代化 / 植民地主義 / 生活の形 / 語り |
Research Abstract |
本年度は、予定通り2度のベトナム現地調査を行った。ただし、夏期においては当初の計画どおりに4週間の調査は実施できなかった。というのも、おなじくベトナム研究であるクメール調査の別の文部省科研の研究分担者となったため、共同研究との時間調整やビザ発給に時間がかかり、本研究遂行のための現地調査は10日ほどしか行なえなかった。ドンナイ省タイビン村では1997年の研究時点から、インフラや人々の生活全般、宗教・儀礼においていかなる変化が見られるかを補足調査した。さらに、南西部のヴィンロン省に行き、調査村の選定と情報収集に努めた。そこでは、フランス植民地主義の到来とあいまって、ドンナイ省の村落にあるカトリック教会とともに、古くから西部の布教の拠点とされていた教会のある村落に注目した。人文社会科学研究センターの教授と検討を加え、帰国する。帰国後は現地で収集した資料の分析に努める。そのなかで近代化という概念をもっと広く歴史的資料からも検討する必要を感じ、とくに植民地主義とキリスト教の問題系にかんする文献研究を行う。春期は予定通り3週間の調査を行う。しかし、新しいヴィンロン省の村落の調査許可の手続きと、村落の基礎的データの収集のみにとどまった。新しい村落調査に着手できたことは大きな成果であったが、予定より、多くの時間がかかり、具体的な調査にまえで踏み込めなかったため、次年度に夏期、春期の二度の調査を考えている。 南西部の村落は生態的要素から南東部とはかなり異なり、伝統的祭祀所であるディンも少なく、寺院も雑多な要素が目に付いた。そのなかで、カトリックは伝統的祭祀所との関係性をいかに築き、どのような生活の形を作って「近代」を生きてきた/いるのか。これまでの問題意識を深める新しい比較対象を得たことで、問題系の新たな整理を着手している。
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Research Products
(2 results)