1999 Fiscal Year Annual Research Report
津・湊の復原的研究に基づく中世南九州地域像の再検討
Project/Area Number |
11710180
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳原 敏昭 東北大学, 文学部, 助教授 (30230270)
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Keywords | 中世前期 / 南九州 / 津・湊 / 日宋貿易 / 中国人居留地 / 交通 |
Research Abstract |
1,主たるフィールドとした鹿児島県金峰町・加世田市・川辺町で実地調査を行った。その結果、中世前期の陸上交通路・寺院等について新たな知見を得ることができた。調査地については、ビデオ撮影を行い、景観を映像に記録することができた(以下の調査についても同様)。 2,中世前期南九州の港を文献史料から検出する作業を行い、さらに考古学的情報・立地条件等々を勘案して、各港の地域内における役割を考え、また各港間の相互関係について検討した。その結果、万之瀬川河口部の重要性を確認することができた。一方、中世前期の坊津が従来考えられているような貿易港とは見なし難いという結論も得た。 3,九州各地残る唐坊(表記が変化した場所も含む)という地名が,中世前期の中国人居留地を示すという見通しのもと地名の検出作業を行い,五ヶ所(福岡県津屋崎町、佐賀県唐津市、鹿児島県川内市、同加世田市,同垂水市)を見出した。また、当該地について実施調査を行い、立地条件・歴史的条件等で共通点が多いことを確認した。また、それらが戦国時代以降にあらわれる唐人町とは断絶したものであり,歴史的性格を異にするということを明確化した。以上によって従来の日宋貿易研究を批判的に検討を加える足がかりを得た。 4,以上の成果は別項の論文にまとめた。また、12月4・5日に金蜂町主催で行われた歴史シンポジウム「万之瀬川から見える日本・東アジア-阿多忠景と海の道-」で報告し、地域に対して研究成果を還元した。
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