1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末柄 豊 東京大学, 史料編さん所, 助手 (70251478)
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Keywords | 実隆公記 / 三条西実隆 / 三条西家本 / 言継卿記 / 文正度大嘗会 / 西園寺家文書 |
Research Abstract |
歴史学に限らず文学・美術史などの各分野も対象に『実隆公記』および三条西家本に関する研究論文を集めて文献目録を作成し、また、史料編纂所架蔵『実隆公記』自筆原本について、刊本・同所架蔵の謄写本・写真帳等との対応および装丁等について調査して一覧表にまとめた。以上両者はホームページ(http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/personal/suegara/shiryo.htm)で公開した。さらに『実隆公記』の有する中世の日記に典型的なあるいは独自な性格を明らかにするため、比較検討の素材として、同所に自筆原本を架蔵する『言継卿記』について同様の作業を行った。また、京都国立博物館文化財保存修理所内で修補中の『実隆公記』原本の調査を行い、かつて折本として利用された痕跡や紙背文書の接続法に注目することが断簡の接続に有効であることを確認した。 史料編纂所架蔵三条西家旧蔵本の購入時期や納入者について調査し、戦後20年間強にわたる複数の古書肆の関与を知ることができた。また、一旦市場に出たものが再度別の古書店を通じて市場に還流し、その間に装丁等が改められてしまった事例のあることがわかった。また、宮内庁書陵部および国文学研究史料館資料館所蔵の三条西家旧蔵本の調査および『弘文荘待賈古書目』等についての検討から、中世最後の大嘗会たる文正度大嘗会で伝奏をつとめた甘露寺親長の許に残された史料が三条西家に伝存し、戦後諸所に分散したことが明らかになった。 中世の三条西家の経済的基盤となった家領の多くは室町前期に西園寺家領から分割されたものなので、西園寺家旧蔵の文書についても調査を行った。その結果、同家の文書は近世から巷間に流出し始めており、多数の機関・蒐集家等に分蔵されるに至っていること、室町中期に断絶した一族洞院家の文書をも伝えていたこと、などが明らかになった。
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