1999 Fiscal Year Annual Research Report
中国西南地方の民族間関係史に関する研究-明清地方志史料の利用による-
Project/Area Number |
11710197
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 島根大学, 法文学部, 助教授 (20294358)
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Keywords | 中国西南地方 / 雲南(省) / 少数民族 / 民族史 / 民族間関係 / 地方志史料 |
Research Abstract |
本年度は日本の研究期間における中国西南地方(雲南地方を中心とする)の地方志史料の収蔵状況調査,および史料収集が主要な研究課題であったが,調査の結果,清末・民国期(19世紀末〜20世紀)に刊行された省志など一部の原本が収蔵されているのをのぞけば,おおむね中国(大陸)・台湾などで複製されたものが大部分であること,とくに明代の編纂に関わる史料はきわめて乏しいことが判明した。明代雲南地方に関する地方志は八種が知られているが(うち三種散佚),そのうちもっとも新しい天啓『〓志』が雲南において活字出版されているほか,正徳『雲南志』が台湾から影印出版されている(『天一閣蔵明代志選刊続編』所収)。しかしながら,正徳『雲南志』のテクストをもっとも年代の古い景泰『雲南図経志書』の部分的に刊行されているテクストと比較した結果,前者が後者の記述を利用している部分が少なくなく,正確な研究,とくに民族間関係の時代的変遷の検討に際しては景泰『雲南図経志書』全文の検討が不可欠であることが判明した。本書は手抄本のみが伝わるため,国内の研究機関に所蔵がなく,研究代表者がかつて留学していた雲南大学図書館に複写が存在するが,稀覯本扱いとなっており,国外からの複写請求も困難である。これに関しては,次年度予定されている現地における資料調査の際に,直接交渉により複写または撮影の許可を要請したい。 また既に入手した資料の電子化も計画中である。現在のコンピュータの文字コード環境においては漢文資料の完全なテキストデータ化はきわめて困難であるが,記憶装置の発達により画像として保存することは割合に容易になっており,前近代の未刊行史料の保存方法のひとつとしての活用を検討している。
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Research Products
(2 results)