1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710216
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
三吉 秀充 愛媛大学, 法文学部, 助手 (50284386)
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Keywords | 陶質土器 / 出土状況 |
Research Abstract |
本年度は西日本地域を中心として、陶質土器のあり方に検討を加えた結果いくつかの傾向を読みとることができた。 1.集落出土の陶質土器 5世紀段階では、竪穴式住居等で土師器とともに最終廃棄される例があることを確認した。しかし、陶質土器が出土した遺構内で、陶質土器が在来の土師器・須恵器を凌駕する例はない。また、陶質土器の中には、一部に粗悪品が存在することも、実際の資料調査から明らかになった。 2.古墳出土の陶質土器 5世紀段階では、小規模な古墳に大量または複数個の陶質土器が存在する例が多いことを確認した。6世紀段階では、横穴式石室を主体部にもつ小規模古墳などから大量の須恵器に混じって、少量の陶質土器が出土するという例が多く見られることを確認した。また、瀬戸内地域で横穴式石室から出土した陶質土器の中に、共伴する須恵器より年代的に若干先行する例があることを確認した。こういった状況は、陶質土器が出土した地域における、陶質土器の位置づけを考える上での重要なデータになると考えられる。 3.地域間の比較 西部瀬戸内出土の陶質土器のあり方には、朝鮮半島と直接交流の下に陶質土器を入手していた対馬地域の陶質土器のあり方に共通する点が見られることを確認した。 次年度は、陶質土器の集成を確実なものにすると同時に、九州・畿内地域の資料充実をはかり、これらの地域を含めた地域間の比較検討を行う必要がある。
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