1999 Fiscal Year Annual Research Report
用例データベース構築に基づく東国成立の鎌倉時代法談図書類の国語史的研究
Project/Area Number |
11710225
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
土井 光祐 実践女子大学, 文学部, 講師 (20260391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 光祐 実践女子大学, 文学部, 講師 (20260391)
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Keywords | 明恵 / 鎌倉時代語 / 中世語 / 法談聞書類 |
Research Abstract |
本年度は、先ず神奈川県立金沢文庫に所蔵されている二つの法談聞書類「解脱門義聴集記」「華厳信種義聞集記」を中心に、データベース化を開始した。両文献は、東国成立ではないが、鎌倉時代の称名寺の学僧が上洛して東国の地にもたらしたものであって、その後の東国成立の法談聞書類にも強い影響を与えたものと推定される文献である。両文献の全文を電子化テキストに入力し、データベース構築の基盤作りを行った。 両文献は、平安時代以来の漢文訓読語を随所に用いつつ、平安時代の和文特有語と共に、鎌倉時代の新語を多く含んでいるが、語彙のみならず、構文のレベルでも興味深い傾向が見られる。注釈を中心とした内容であるために、「・・・・ト云ハ・・・・也」の如き注釈文体がその大半を占めているが、条件表現、疑問表現等に鎌倉時代の新しい形式と推定される徴証が確認された。 又、上記二文献の原典である「華厳修禅観照入解脱門義」「華厳信種義」は、高山寺所蔵(東京国立博物館保管)の明恵上人自筆本を調査して、その関係を考察した。 現段階でのデータベースは、未だ大雑把なものであって、資料も少数であるが、金沢文庫所蔵の東国成立の法談聞書類(「止観心要聞書」等)の情報を付加して、ある程度総合的なデータベースが完成すれば、関西成立と東国成立との法談聞書類を比較することによって、更に詳細な実態が解明されるものと期待される。
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Research Products
(1 results)