1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本文学研究における読書論の役割及びその動向についての研究
Project/Area Number |
11710232
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
和田 敦彦 信州大学, 人文学部, 助教授 (90283225)
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Keywords | 読書論 / リテラシー / 読者 / 日本近代文学 |
Research Abstract |
本研究では、これまで系統的に調査、収集がなされていなかった読者論、読書論の研究を収集、整理するとともに、それらデータを広く公開すること、そしてそこから、読者をめぐる研究の動向、可能性を考えることをねらいとしている。本年度は、読書、読者論の中でも、主として国文学研究領域の最近10年間を中心としてデータを収集、整理した。その情報をインターネット上にリスト化して公開するとともに、論文集成『読書論・読者論の地平』として刊行し、読書についての研究が、他の学問領域との学際性の強い研究となっているとともに、多領域を介在する重要な領域となったいることを明らかにした。その一方、継続的な情報収集、整理の体制をととのえ、情報入力、公開の作業ができるようにした。 これら調査を受け、今後の研究方針は、主として二つの方向をとる。ひとつには、現在の情報と受容の形、という広い観点からの研究として、読書論、読者論の可能性を考えてゆくことである。具体的には活字、書物の受容と、電子機器を介在した情報の受容環境とのかかわりを考え、調査することとなる。もうひとつの方向は、教育領域と読者の問題を重点的に調査することであり、具体的には教科書の教材史や流通形態とのかかわりのなかで、現在のリテラシーのありかたを検討する作業となる。
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