1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710240
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中本 大 立命館大学, 文学部, 助教授 (70273555)
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Keywords | 彭叔守仙 / 室町時代後期 / 天文年間 / 東福寺善慧軒 |
Research Abstract |
室町時代後期に活躍した禅僧、彭叔守仙に注目し、彼の残した第一級資料及び蒐書を悉皆調査することで、天文年間の文壇・画壇の様相を明らかにする目的で始めた今年度の研究課題、現在までの段階で、彭叔の文化・文学活動の中心であった漢籍を中心に調査を行ってきた。即ち、『古文真宝』や『蒲室集』を始め、彭叔が本文の普及及び講釈に関わったとされる作品において、彼が前代の何を継承し、後代に何を伝えたのか、という視点から、同時代を生きた、仁如集尭・策彦周良等の言説との比較対照を行ってきた。この成果については、2000年度中に活字化する予定である(掲載誌等は未定)。 一方、彭叔の自筆本及び蔵書を数多く所蔵する東福寺善慧軒での悉皆調査に着手するための前段階として、本年度は、善慧軒旧蔵本の調査を重点的に行ってきた。美術関係の諸目録(待賈目録・売立目録等)には善慧軒旧蔵の図書類がしばしば見うけられ、一方、東京大学史料編纂所所蔵の騰写本と現蔵写本とにも多少のずれの存することから、各所蔵機関及び所蔵者に配慮しつつ、明らかにすることで学術的成果を得ることができる、と考えられる事実を確認すべく、調査を行ってきた。四月以降十月までは主に公的機関(図書館・公文書館・博物館等)、十一月以降は個人宅を中心に調査を行ってきた。今年度の調査成果をうけて、来年度は本格的に善慧軒所蔵文献の悉皆調査にかかりたいと考えている。その際必要な目録作成、書誌調査用のフォーマットは今年度中に作成を完了しており、迅速な調査が継続できるものと確信している。
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