1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710259
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
高野 美幸 (野地 美幸) 上越教育大学, 学校教育学部, 講師 (40251863)
|
Keywords | 生成文法 / ミニマリスト・プログラム / 日本語 / 英語 / 主格照合 / が / の交替 |
Research Abstract |
自然言語の格システムの解明に向けて、今年度は特に英語と日本語の主格名詞句の生起に関する違いについて研究を行った。まず、先行研究を中心に資料収集を行い、随時データベース化を図っていく過程で、次の2つのことが明らかになった。まず第一に、日本語には多重主語構文が存在するが英語には存在しないことから主格名詞句の認可に関して英語では単一の日本語では複数の主格名詞句を認可しうるという違いがあるものの、英語と日本語の主格名詞句の認可システムは基本的に同じである、つまり主格照合は共に時制節のTによって行われる、と考えられること。次に、英語は時制節のTによる主格照合が義務的な言語であると言えるのに対して、日本語に関しては英語と同様義務的だとする立場と、日本語では随意的だとする立場があるということ。そこで、まだ未解決の第2の点に焦点を絞って更に研究を行った。日本語の格照合に関して相反する双方の立場の拠り所とする言語事実を再検討すると共に、新たな事実を加え検討を重ねた。その結果、1)日本語で義務的に見える現象(与格主語構文)は別の要因が絡んでいること、2)日本語で随意的であると考えるとECM構文等に関して英語との違いがうまく説明できること、3)したがってやはり時制節における主格照合に関して英語は義務的で日本語は随意的だというパラメトリックな違いが存在すること、が明らかになった。この研究成果は、現在投稿中の論文「日英語の主格照合に関する違いについて:義務的か随意的か」に収めた。
|