1999 Fiscal Year Annual Research Report
ハイダ語音声資料のデータベース作成と形態統語法の記述研究
Project/Area Number |
11710283
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
堀 博文 静岡大学, 人文学部, 講師 (10283326)
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Keywords | ハイダ語 / アメリカ・インディアン諸語 / 形態論 |
Research Abstract |
本研究は,カナダのブリティッシュ・コロンビア州の北西海岸地域で話される,ハイダ語スキドゲイト方言の音声資料の整備とその形態統語法の記述研究を主たる目的とするものである.本年度の成果は,以下のようにまとめられる. 1.これまで過去9年間にわたる現地調査によって得たハイダ語のアナログ音声資料をミニディスクなどのデジタル媒体に変換する作業を行った. 2.現地調査での缺を補うべく,ハイダ語の過去の文献資料を蒐集した. 3.北アメリカ北西海岸地域に分布するアメリカ原住民諸語に関する文献資料を蒐集し,以てハイダ語の同地域における言語類型的特質を考察した. 4.ハイダ語の形態法に関するまとめを行ない,先行研究において十分に扱われてこなかった以下の点を明らかにした. (1)名詞の形態統語法に関わる事象として,所有句構造を取り上げ,ハイダ語の所有句は,被所有者名詞の譲渡可能性・不可能性という意味特徴によって,異なった構造を示すことを明らかにした. (2)ハイダ語の動詞形態法において,特徴的ともいえる手段接頭辞と類別接頭辞を取り上げ,その形態統語的振る舞いを詳しく観察した. (3)ハイダ語の複雑な動詞構造を特徴付ける派生接尾辞の機能の解明を図り,更に派生接尾辞の承接順序などを明らかにした. 今後の課題は,音声資料のデジタル媒体への変換を更に行なうことと,ハイダ語の形態統語法に関わる様々な事象をより広い理論的枠組みで追求することである.
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[Publications] Hirofumi Hori: "Comments on 'Tonal System of the Gaviao Language of Rondonia' by Denny Moore"Cross-Linguistic Studies of Tonal Phenomena Tonogenesis,Typology,and Related Topics. 311-312 (1999)
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[Publications] Hirofumi Hori: "A morphological study of Skidegate Haida"京都大学博士論文. 144 (2000)