1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の言語交渉における意見衝突の表明手続きと解決ストラテジー
Project/Area Number |
11710288
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
高野 照司 北星学園大学, 文学部, 助教授 (00285503)
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Keywords | 意見衝突 / 談話ストラテジー / 日本人の言語交渉 / ヴァリエーション理論 |
Research Abstract |
本年度の所究成果を以下の5点にまとめる。 1.言語交渉における意見の衝突や食い違いといったテーマに関連した文献を日本語のみならず他言語からも幅広く検証した結果、本研究申請当初に予定していた談話分析的アプローチよりも、ヴァリエーション理輪に根差したアプローチを用いるほうがより独自性が増し、他言語(とりわけ、米語・英語・仏語)における類似研究との比較がしやすいという点で、より有益であることが判明した。従って、今後は特に自然談話中に現われる否定表現と韻律との規則的関係に分析の焦点をしぼった上で、日本語特有の(または、他言語と共有される)反対意見表明のしくみを解明していくこととする。 2.韻律的特徴を分析するために必要とされるパソコン及び音声分析ソフトを購入し、実際の会話資料の分析を開始した。次年度もこの分析作業を継続していく。 3.上記2を遂行するにあたって、既存の会話資料の文字起こし作業を行った。次年度も継続していく予定である。 4.会話資料を追加するため、北海道千歳市内の職場1ヶ所でフィールドワークを行った。男性管理職1名を含め、合計7名(男4名・女3名)の話者から自然発生的談話を約10時間にわたってMD録音することができた。また、その際申請者は業務を観察し、適宜フィールドノートをとることが許された。 5.本研究と類似した研究プロジェクトを主催する米国アリゾナ大学大学院認知科学課程Malcah Yaeger-Dror教授より本研究の中間的分析結果についてのレビューをうけ、分析作業上の問題点やその解決法に関して議論をすることができた。今後の分析作業に役立つ貴重な助言をいただいた。
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