1999 Fiscal Year Annual Research Report
水法研究--水循環型社会における水利用のあり方を中心として--
Project/Area Number |
11720030
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
宮崎 淳 創価大学, 法学部, 助教授 (30267489)
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Keywords | 水循環型社会 / 水利制度 / 水利秩序 / 水道法 / 給水義務 / 給水拒否 / 地表水 / 地下水 |
Research Abstract |
水環境型社会に適合した水利秩序を考究するにあたり、まず、水事情が逼迫した場合における法律的問題を取り上げた。それは、水不足のときほど水の有効利用さらには水循環型社会の構築が切望され、水利用の問題点が顕在化すると考えたからである。具体的には、行政はいかなる政策をもって水の需要と供給の関係を安定化させていくべきか、また、水道法の本来の目的を逸脱することなく、水不足から生起する問題をどのように法解釈上、解決していくべきか、について検討した。 第一に、本研究では、水道事業者の給水義務が解除される「正当の理由」の意義について、給水拒否に関する裁判例の類型化および学説の状況を考察することによって、明らかにした。すなわち、正当の理由の解釈に際しては、自然的社会的諸条件を含めて水道事業者と給水申込者双方の事情を総合的に考慮して判断しなければならないが、水道事業者の事情については、適正かつ合理的な水の供給計画に基づいた施策の策定およびその実施に関して慎重に検討することによって行政の恣意をできるだけ排除することが求められ、一方の申込者側の事情については、一般条項違反のように著しい違法性を有する場合のみに限定して考慮すべきであると結論づけた。 第二に、地表水と地下水を一体的に捉えた水利用のルールを考究するためには、水の循環的特質から地表水の利用ルールと地下水の利用ルールとの関係性について論及する必要がある。水利制度が発展しているアメリカの地表水の利用ルールに関しては、3つのルールが存在するが、都市化による土地利用の形態の変化に伴い、これらに修正が加えられたり、もしくは柔軟性を有するルールへと移行する傾向がみられる。地下水の利用ルールおよび両者の関係性については、次年度の研究課題とする。
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Research Products
(1 results)