1999 Fiscal Year Annual Research Report
集団的労働条件の決定プロセスにおける従業員代表の関与のあり方に関する研究
Project/Area Number |
11720035
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大内 伸哉 神戸大学, 法学部, 助教授 (10283855)
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Keywords | 労働条件 / ユニオン・ショップ協定 / 従業員代表 / 労働組合 / 労働団体法 / 憲法28条 / 任意団体 / ストライキ |
Research Abstract |
本年度は,集団的労働条件の決定プロセスにおける従業員代表の関与のあり方について,立法論的見地から基礎理論的研究を行ってきた。そこで明らかとなったのは,従業員代表の立法による制度化には,現行法上の労働組合の位置づけとの関係を解明することが不可欠であるということである。現在の通説的労働法理論においては,ユニオン・ショップ協定の適法性が認められているので,同協定の締結組合は強制団体的な性格を帯びることになり,その点で従業員代表と近くなってくる。しかし,従業員代表の制度化を考えていくうえでは,従業員団体とは異なる組織原理をもつ労働組合を憲法(28条)が本来予定している任意団体として理論的に再構成していくという作業が必要である。以上のような基礎的考察に基づき研究を行い,その結果を「ユニオン・ショップ協定が労働団体法理論に及ぼした影響」にまとめた(すでに脱稿済み。近刊の神戸法学雑誌49巻3号で発表)。 これと平行して外国法の研究も進めてきた。ドイツ,フランスを中心に主要先進国の従業員代表制のあり方について,その組織,権限の両面から比較を行った。すでに明らかとなった中で特に重要な点は,組織面では,企業内での従業員代表について大きく分類すると従業員選挙型と組合指名型があるというこであり,権限面では,団体交渉やストライキなどの権限をもつタイプと,そのような権限をもたないタイプがあるということである。
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