2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11720052
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大西 裕 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (90254375)
|
Keywords | 韓国 / 行政学 / 行政改革 / 金泳三 / 金大中 / 新自由主義 / 新制度論 / 大統領制 |
Research Abstract |
1990年代に入って韓国が迎えた本格的な文民政権である金泳三・金大中両政権は、いずれも行政改革の世界的な潮流に則って、新自由主義的な行政改革をおこなおうとしてきた。本研究は2つの政権の行政改革に関するパフォーマンスを調査した。当初の予定では両政権の違いを浮き彫りにし、因果関係を明らかにすることに重点を置いていたが、調査を終えてむしろ重要であるとわかったのは両政権の共通性であった。両政権は、同じような分野を改革し、同じような分野で改革が進まず、改革の進展も同じペースであった。すなわち、両政権は、中央省庁再編、公務員制度改革といった、政府組織内部の改革には積極的かつラディカルに取り組むが、規制緩和は漸進主義的で、公私領域の見直しにつながる民営化はほとんど進めないのである。改革のペースについては、政権初期に急速に改革を進めるが、中期以降改革はほとんど進行しなくなる。 ではなぜ以上のような特徴を両政権は示したのであろうか。本研究でこの解答として得たのは2つである。一つは、改革の内容を規定しているのは、改革が持っている大統領権力と中枢管理機能を強化する方向性である。すなわち、行政府の権限や資源がトップに集中する方向での改革はなされるし、ライン官庁の権限を割く規制緩和は可能であるが、大統領権限の縮小につながる公企業の民営化は進行しない。もう一つは、大統領任期が単任制であるためレイムダック化が早く、任期の中盤には政策パフォーマンスが低下することが行政改革のペースを規定しているということである。 両政権が意外な共通性を持ったのは、韓国の大統領制と行政府が持つ制度的な特徴に由来するものであったからである。この限りにおいて、歴史的新制度論の分析枠組みが有効であることが本研究で確認された。
|
Research Products
(2 results)