1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11720055
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
魚住 弘久 北海学園大学, 法学部, 講師 (60305894)
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Keywords | 公企業 / 行政史 / 特殊法人 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の公企業を行政史の視角から分析することにある。本年度は、(1)経営学・政治学など行政学の隣接分野において公企業がどのように論じられてきたのかを考察し、本研究の学問上の位置づけ及び、分析視角を明確にすること(2)これまでに行いつつある「営団」「公団」「公社」の資料収集を継続すること、を目標に研究を実施した。 「(1)」のような研究を通じて次の3点が明らかとなった。第1に、これまでの研究は、公企業の存在を所与のものとしてきたということである。公企業がどういう経緯で存在するに至ったのかは、実証的に研究されてこなかった。第2に、そうした研究状況の結果、日本における研究の関心は、組織内部(独立採算制、能率性の間題など)あるいは組織形態の解釈に集中したということである。そして、第3に、海外の行政学研究者が積極的に公企業に関わってきたのに対して(例えばロブソン)、日本の行政学研究者は公企業を正面から扱ってこなかったということである。以上のことから、行政学の視点から歴史的に公企業を研究することの意義が確認された。「(2)」については、2度の資料収集を行った。1度目は、束京都公文書館、運輸政策研究機構、農林水産省図書室などで「営団」「公団」関係の資料収集を行った。東京では「営団」に関する資料を補足することができた。2度目は、愛知県公文書館、西山夘三文庫、池田文庫(大阪)などで資料収集を行った。特に西山夘三文庫における資料収集は、住宅営団関係の諸資料を閲覧できたほか、学問分野の全く異なる建築分野の研究者から住宅営団研究の最新情報を聞くことができ実り多いものとなった。以上を踏まえて、現在、論文を執筆しつつある。本研究は、来年度に科研費の最終年度を迎える。それまでに論文の刊行を目指したい。
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