1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11720058
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
唐 亮 横浜市立大学, 国際文化学部, 助教授 (10257743)
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Keywords | 党一軍関係 / 文化大革命 / 派閥 / 軍部 / 「三支両軍」 / 林彪事件 / 政治主流派 / 権力闘争 |
Research Abstract |
現代中国の党一軍関係は政治状況によって変わってくる。平成11年度の研究は文化大革命を例に上層部の権力闘争の動きと軍部との関わりを検証して、人民解放軍の政治的影響力の増大は軍隊に対する共産党の指導体制、人民解放軍自身の地位と権威にいかなる影響を与えたかを分析した。その主な結論は以下の通りである。 第1に、毛沢東は文化大革命を推進するために、軍隊の支持を必要とし、軍隊の政治的影響力が大きく増大した。しかし、軍部は単なる政治的道具だけではなく、毛沢東の文化大革命に協力しながら、独自の政治意思を持っていた。毛沢東が超越的地位を有したものの、give and takeの政治力学の制約を受けていた。 第2に、軍隊の活動が毛沢東、政治主流派の指導からはみだしたりするが、一部の途上国に見られた完全の軍政が出現しなかった。その最大の原因は、毛沢東自身が軍指導者の出身であり、軍隊に対して絶大な影響力を持っていたことである。すなわち、延安整風運動以後、毛沢東はすべての派閥に君臨する超越的存在になり、権力闘争を展開する際、派閥操縦術を駆使し、路線・政策が正しい時も、間違った時も政治の主導権を発揮することができた。 第3に、毛沢東死後、最高指導者個人のカリスマ性を担保とする共産党の指導権は厳しい試練を迎えた。結果的に、華国鋒等の政治指導者が「四人組」逮捕に参画し、葉剣英は「四人組」逮捕後に党中央主席への就任要請を固辞し、華国鋒を支える立場を選び、民衆は「四人組」の逮捕を大いに歓迎したことなどによって、軍事政変のイメージは大きく薄れたが、それはただ歴史的偶然かもしれなかった。
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