1999 Fiscal Year Annual Research Report
持続的成長可能な世界経済での貿易利益の存在についての研究
Project/Area Number |
11730007
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
久保田 肇 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (00293811)
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Keywords | 貿易利益の存在 / 持続的成長可能 / 選好の推移性 / 競争均衡の存在 / 無限期間 |
Research Abstract |
貿易利益の存在の基本問題は、貿易利益の議論では消費者の自給自足下の消費点と自由貿易下の消費点を比較するので、通常用いられる三つの消費点の比較に関わる選好の推移性は不必要であるという事と、貿易利益の存在は各消費者にとって自由貿易下の消費点の方が自給自足下の消費点より望ましい様な自由貿易均衡の存在問題となるので、結局競争均衡の存在問題の一種となっている事です。現研究課題は持続的成長が可能な世界経済での貿易利益の存在を示す事なので、持続的成長が可能な無限期間の世界経済において、各消費者がその時の消費点の方が自給自足時の消費点より望ましくなっている様な自由貿易下の競争均衡の存在を、選好の推移性を仮定せずに示す事である。その為には、先ず選好の推移性を仮定せずに持続的成長が可能な無限期間の経済での競争均衡の存在を示す必要がある。無限期間の経済は無限次元財空間を持つ経済と見なされるが、その様な経済での競争均衡の存在は、その証明において有限次元財空間の経済のケースと1つ大きく異なっている。有限次元経済のケースは通常すべての価格に対して上手く定義されて非空となる市場超過需要を利用するのであるが、無限次元経済のケースでは市場超過需要がすべての価格に対して上手く定義されて非空となるとは限らないのである。そこで無限次元経済の競争均衡の存在を示す為に、有限次元経済による無限次元経済の近似という方法を利用するか、有限次元経済でも用いられ市場超過需要に基かない、競争均衡とパレート最適性やコアーとの関係に基く方法を利用するからである。しかし後者の方法では確かに持続的成長が可能な経済の競争均衡の存在を示されているが、選好の推移性に基いて証明が行われているので今扱っている状況には適応できない。また前者の方法では、持続的成長が不可能な経済での競争均衡の存在が選好の推移性の仮定なしに示されている。そこで、持続的成長が可能な経済を上手く持続的成長が不可能な経済で近似し、持続的成長可能な経済の競争均衡の存在を示す事が選好の推移性を仮定する事なく可能かどうかを現在検討している所である。
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Research Products
(1 results)