1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11730014
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大住 康之 大分大学, 経済学部, 助教授 (10223819)
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Keywords | 効率的交渉 / 資本と労働の代替・補完関係 / 賃金不平等 / 資本と熟練の補完関係 |
Research Abstract |
今年度は、主として資料収集と研究の展望を明確にすることに終始した。資料収集に関しては、CEPRディスカッションペーパーを経費内で購入し、必要な場合は他大学で収集した。パソコンソフトの購入も行った。記して感謝したい。研究の展望として、労使交渉を通じて資本変化が生じた場合、熟練、未熟練労働の雇用と賃金格差等がどのように変化するかを特に資本ストックと2労働間の代替、補完関係に着目して論文にまとめた。また、これまで継続して行ってきた成果を学術図書として出版した。後者の拙本は、本研究と密接な補完関係にある。 本年度研究に関する具体的内容は次の通りである。熟練労働の賃金と雇用が効率的交渉で決定され、未熟練労働の雇用が限界生産力原理で決定される場合、先決変数である資本ストックが変化した場合、熟練と資本ストック間、未熟練労働と資本ストック間、熟練と未熟練の補完性が賃金と両部門雇用の創出にどのような影響を及ぼすかを分析した。簡単な要約として、熟練と資本の補完性が未熟練労働と資本より大きく熟練と未熟練間に代替性がある場合、資本蓄積下、相対的に未熟練雇用の創出は難しく、賃金の不平等も拡大していく可能性があることを明らかにした。また、それぞれの労働と資本ストック間の補完関係を明示的にしなければ、このような帰結は見落とされやすいことも明らかにした。 次年度の方向としては、今年度の研究を発展させる方向つまり、(1)静学的分析を資本ストックの内生化による動学的分析、(2)技術変化の影響、財市場等の影響を考慮したマクロモデルの構築等を通じて、雇用変化と賃金不平等、失業の動向等を分析する。
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