2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11730014
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
大住 康之 中京大学, 経済学部, 助教授 (10223819)
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Keywords | 資本熟練補完 / 経済ショック / 効率的交渉 / 失業 / 賃金不平等 / 熟練偏向的技術変化 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き研究展望と関連研究の動向を明確にすべく、関連領域の雑誌を主とした資料収集と労働、マクロ、投資、成長理論関連の書籍の購入を行い、また欧米主要大学のホームページから種々の最新ディスカッションペーパーをダウンロード可能になるパソコン一式の購入を行い研究を行った。以上のことを円滑に行えたことに対し、記して感謝申し上げる。 本年度では、資本の変化、熟練偏向的な技術変化そして財需要の変化が、レントと労働保蔵を生じさせるという意味で労働制度を反映する効率的交渉と市場を反映する限界原理の両方考慮できる枠組みで、失業と賃金不平等が生じる要因と生じるメカニズムの解明を主として分析した。資本と技術変化は中期現象を表し、財需要の変化はマクロ現象を表す。研究では、市場と制度の差異と生産技術の代替補完関係の差異が上記の要因とメカニズムにとって重要であることを明らかにした。前者に関しては、上記3つの変化の結果、市場制度下と比べて労働制度下では賃金不平等の緩和は促進される反面、未熟練の雇用変動が増幅されやすいことを明らかにした。後者に関しては、生産技術の資本熟練補完と未熟練資本代替の生産技術は、資本と技術変化に対して熟練雇用の創出と賃金不平等を生じさせ、需要の変化に対して未熟練労働に景気緩衝を負わせやすいことを明らかにした。 期間内で、実証研究とマクロ一般均衡的な研究は不十分であったが、雇用問題を考察する際、展望として制度を反映させる必要性、ヴィンテッジモデルを含む技術と資本、人的資本の関連性を明確にする必要性、財市場の構造(不完全競争の程度)と構成(投資需要をいかに反映させるか)を明確化させる必要性を認識したので、以上の課題をこれからの研究に反映させたいと考えている。
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[Publications] 大住康之: "経済ショック,資本熟練補完と雇用・賃金不平等-労働制度を考慮して"経済学論究(関西学院大学). 54巻4号. 1-26 (2001)
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[Publications] 大住康之: "資本熟練補完,労働制度および雇用・賃金不平等の経済分析"『公共経済学研究III』(焼田,釜田編)(勁草書房). 70-94 (2001)