1999 Fiscal Year Annual Research Report
不完全・アンバランス・パネルデータによる統計的推測
Project/Area Number |
11730019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大屋 幸輔 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (20233281)
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Keywords | パネルデータ / 欠測値 / 頑健性 |
Research Abstract |
パネルデータを利用した経済モデルの統計的分析に関して、利用できるデータの状況が理想的状態にない場合の統計的推論がどのような性質をもつかを明らかにしようとすることが本研究の目的である。パネルデータには時間方向とクロスセクション方向と複数の系列の方向がある。経済データにおいて顕著に見られるのは時間方向でのデータ数が、対応するクロスセクション方向でのデータ数に比べて極端に少ない状況である。またある特定の系列を時間方向にみていった場合、データが観測されない時点が頻繁に見られる。後者は特に金融データの特徴としてあげることができる。本年度は、この後者のような状況下で統計的漸近理論がどの程度成立しているかを検討した。特定の系列で不規則に観測される欠測値を確率的に取り扱い、統計的推測の対象となっているモデルに導入することで、欠測値を確定的にしか取り扱わない場合とにおいて差異が生じることを明らかにした。株式市場において、数多くの株価が観測できるが、取引が行われていない状態に対して何らかのモデルを仮定することで欠測値に対処することも可能ではあるが、どのようなモデルを仮定するかによって得られる結果が異なってくる。従って、特定の仮定をおくことなく、単に欠測値はランダムに生じているとだけ仮定するアプローチは頑健的である。またこのアプローチは欠測値を確定的に扱うことも可能であるため従来までの研究を包括する枠組みになっている。現在はこの頑健性をモンテカルロ実験によって検証中である。
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