1999 Fiscal Year Annual Research Report
家計の危険回避度がマクロ経済政策の効果に与える影響について(ミクロ基礎付けのある小国オープンマクロモデルを用いて)
Project/Area Number |
11730025
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
亀田 啓悟 新潟大学, 経済学部, 助教授 (80286608)
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Keywords | マクロ経済 / 危険回避度 / ミクロ的基礎 / オープンマクロ |
Research Abstract |
本研究の目的は、家計の危険回避度とマクロ経済政策との関連を示した亀田(1997)^aを、(1)効用関数の一般化、(2)貿易財・非貿易財の2財の導入、の2点について拡張し、(3)実証分析を行うことであった。本年度は主に(1)について研究を行い、また、(3)を行うにあたり必要となるコンピューターソフトの習熟につとめた。 まず、(1)についてであるが、T.J.Sargent(1987)^b、石井(1977)^cなどにもあるように、資産価格の不確実性を考慮した多時点間の効用最大化問題の一般化は、理論上問題ない。しかし、後に実証的に分析することを考慮すると、危険回避度を推計できる効用関数も同時に考えておく必要がある。Hansen and Sigleton(1982)^dを参考にすれば、相対的危険回避度が一定の効用関数に特定化すれば危険回避度推計は可能であるが、これでは所得と絶対的危険回避度との関係によリマクロ経済政策の効果が異なるという理論上の帰結を検定できない。次年度においては、危険回避度と所得との関連を実証的に分析できる効用関数を用いて実証分析を行い、家計の危険回避度とマクロ経済政策との関連を分析したい。 次に、(3)についてであるが、RATS、TSPの計量分析ソフトを別途購入し、その習熟に勤めた。 ^a 亀田啓悟 「不完全競争下の小国開放マクロ経済分析-アセットアプローチのミクロ的基礎付けに向けて-」 1997年度理論計量経済学会報告論文。なお本論文は科学研究費申請後、加筆修正の後、『三田学会雑誌』(91巻4号、1999年)に掲載された。 ^b T.J.Sargent,Dynamic Macroeconomic Theory.Harvard University Press.1987 ^c 石井 安憲 「長期消費・資産需要決定と価格変化」『横浜市立大学論叢』第28巻1.2合併号、1977年 ^d Hansen and Sigleton,"Generalized Instrumental Variables Estimation of Nonlinear Rational Expectations Models,"Econometrica,vol.50,No.5,1982
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