1999 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア移行経済における企業組織の再編-テキスタイル産業を中心に-
Project/Area Number |
11730029
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
藤原 克美 大阪外国語大学, 外国語学部, 講師 (50304069)
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Keywords | テキスタイル / 企業組織 / ロシア / 移行経済 |
Research Abstract |
1.産業動向と個別企業 ロシアの繊維産業全般の動向を見ると、98年の通貨危機により、外国からの輸入は激減した(80%から30%まで)。この空白を埋めたのがロシア製品なのか、統計から漏れたアジア製品なのかは現在明らかではないが、ロシアの一部企業が好調なのは確かである。実際、98年の生産は対前年比で10-22%減であたが、99年には対前年比20%増という近年にない生産増を記録した。ただし、このチャンスを利用できたのは従来からの有名企業とニッチを見いだした若干の企業である。多くの企業は現金や原材料の不足に引き続き苦しんでいる。通貨危機は、従来からの企業の二極化傾向に拍車を掛けたと言えるだろう。 2.企業グループの再編過程 筆者は「ロステキスティル」の硬直性を主張してきたが、その姿勢は、若干の変化はみられるものの大きく変わってはいない。99年度も「トゥシンスキー靴下工場」を支配下に入れているが、全般的には不振である。一方、商社の動きは引き続き活発で、99年には新しい企業連合「新テキスタイル会社」が設立された。その中心は、綿の調達・販売を担う「パウエル・インターナショナル」、綿製品の販売を担う「P.N.Cotton」、カザフスタンでの綿花栽培に携わる「カザフスタン綿」の三社である。これらの企業が事業拡大をねらって生産企業を取り込んでおり、テキスタイル産業への商社の影響力の増大が確認される。来年度は、「原材料持ち込み加工」の流れを中心に、商社と生産企業の具体的な関係を掘り下げたい。 3.その他 他産業との比較のため、ガスプロムや石油産業の動きも検討した。その過程で、AコルガーノフとD.レーンの著作は特に紹介をする価値があると考え、翻訳を行った。来年度は、イヴァノヴォとモスクワの企業調査を行い、企業の再編過程がどの程度進んでいるかを確認する予定である。
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