1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11730031
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石井 まこと 大分大学, 経済学部, 助教授 (60280666)
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Keywords | 電子工業 / 労働力編成 / 非正規 / パート労働者 / 請負労働者 / 間接雇用 |
Research Abstract |
本年度は電子工業における非正規労働者の活用についてのヒアリング調査ならびにアンケート調査を実施した。ヒアリング調査では電子工業を営む10の事業所で、アンケート調査は同じく電子工業を営む550工場を対象にその非正規の活用ならびに正規の労働力編成をも規定すると考えられる生産動向、生産方法、雇用管理方法、労使関係との関係を尋ねた。その結果、第1に電子工業における非正規労働者の活用はパート等短時間労働者のような雇用関係のある非正規労働者の活用が伸び悩み、代わりに請負関係の労働者の活用の増加がみられる。この傾向は特に97年アジア経済危機以降進んでいる。その背景には低コストを追求した価格競争力とならんで市場への即時要求に応える体制づくりのために需要の変動を吸収できる体制が要求された結果、時間が区切られ反復雇用により固定化しているパート等短時間労働者より、コストはやや高いが柔軟な対応面で優位性を持っている請負型への活用にシフトしていることが大きい。これまで電子工業では多数のパート労働者を抱えてきたが、今後、迅速な市場対応要求が強まればパートの請負への転化、つまり非正規労働者の間接雇用化が進んでいくことが予想される。パート労働者等の条件改善を推進してきた労働政策はこれら間接雇用の労働者への対応も重要な課題となっている。また第2に、非正規労働者の正規労働者化はパート等短時間労働者の減少のなかで少なくなっている。正規への登用制度を持つ事業所はあるが、継続的な運用は行われていない場合が多く形骸化している。そのなかで正規化を行っている事業所ではそれらに労働力不足期における労働給源の役割と正規登用前の試用の役割を担わせているのだが、今日、非正規労働者の間接雇用化が進んでおり、給源や試用の役割の重要性が薄れてきている。(50字×16行)
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