1999 Fiscal Year Annual Research Report
地域政策における政府・企業・NGOの役割-阪神・淡路大震災復興策を例に-
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11730040
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
田端 和彦 兵庫大学, 経済情報学部, 助教授 (70260669)
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Keywords | 阪神・淡路大震災 / NGO・NPO |
Research Abstract |
本研究では、阪神淡路大震災からの復興過程に注目し、NGO、政府、企業が復興に果たした役割を分析することで地域政策におけるそれぞれのセクターのあり方を考察するものである。果たした役割として、各セクターが復興に投じた資源(資本、人的資源等)を考える。最初に復興に投入された資源を推定する方法として、国勢調査のデータを用い、被災者の移動状況を推定することを行った。復旧から復興にかけて被災者が移動し、投入される資源(最初は行政による仮設住宅の建設、次いで行政と民間による復興住宅の建設)の変化がわかると考えたのである。高齢者の移動量が大きいことなどが数字的に明らかになった。建設以外の移動コスト(例えば引っ越しなど)についてはNGOに依存していることが考えられる。この点は復興住宅に住む被災者のヒヤリングを通して明らかになった。 NGOの活動については各種のヒヤリングやシンポジウムへの参加等により把握に努め、また震災復興センターからの試料をデータ化、分析を行ってきた。各種のNGOは震災直後には様々な調整の問題を抱えながらも、被災者特に高齢者を支える活動などを行っており、経験を踏まえて現在も専門的な活動が活発である。現在、活動に関する資料の整理を行っている段階である。NPO法人化した団体も多い。NGO間の調整機能については行政の場合、NGO自らが行う場合がある。また、問題点としては行政や行政と連なる既存の組織(自治体)などとの軋轢が指摘されている。こうした中で、専門性を活かしさらに市場化を目指す新しい動きなどもあることがわかった。地域政策においてNGOの活動範囲が行政や企業(市場)と密接になっており、不可分となりつつある。これは新しい経済、行政のシステムともいうべきものである。
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Research Products
(2 results)