1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11730043
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
沼尻 晃伸 静岡大学, 教育学部, 助教授 (30273155)
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Keywords | 住宅政策 / 住宅市場 / 土地市場 / 土地区画整理 / 都市政策 / 都市計画 / 関一 / 土地所有権 |
Research Abstract |
1,今年度の研究は、戦間期日本の住宅供給・住宅問題に対する同時代の政策論の検討と、住宅供給の実態に関する検討(住宅供給に関する資料調査及び収集、基礎的統計資料・雑誌記事の整理・検討など)の2つにわけることができる。 2,住宅供給・住宅問題に対する政策論については、関一、池田宏、田川大吉郎などの文献を検討した。戦間期の都市政策を住宅市場の展開を前提に明らかにする本研究にとって重要であったのは、関一の議論であった。関は住宅問題が発生する理由を住宅という商品そのものが抱える「需要供給調節の困難」さに求め、低廉で弊害が少ない住宅供給を促すという視点から、交通政策などに基づく市場を介した住宅供給の円滑化と都市計画に基づく住宅環境の整備という二つの意味において住宅問題に対して都市公共団体が「公」的政策を実施する必要性を説いた。住宅政策を公営住宅の建設と同一視せず、むしろ交通政策などによって民間レベルでの住宅供給を間接的に促す政策の必要性を説く--他方で宅地供給主体である民間施行土地区画整理事業の特質に関する認識は弱い--関の議論は、当該期の政策上の特徴(住宅政策が公的に行われる意味)を理解する上での一つのポイントとなろう。なお、この点については別記の通り研究のとりまとめを行った。 3,住宅供給の実態に関する検討については、本年度は東京・名古屋の住宅供給に関する資料収集に重点をおいた。その他、国勢調査報告を用いた戦間期の都市における人口・有業者構成の変化や『都市問題』『大大阪』などの雑誌の分析を行った。俸給生活者向け住宅供給については、大都市郊外での土地所有者と土地の販売を担う不動産資本などとの関連が重要であり、次年度はこの点に関する検討を深めつつ都市政策の実体を究明する。
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Research Products
(1 results)