1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11730051
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Research Institution | Kobe University of Commerce |
Principal Investigator |
赤井 伸郎 神戸商科大学, 経済研究所, 助教授 (50275301)
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Keywords | 地方分権 / 権限配分 |
Research Abstract |
平成11年度は、以下のような研究を行った。 21世紀に向けた政府構造のあり方を研究するために、まず第一に、戦後日本の中央政府と地方政府の関係がどのようなものであったのか、また、シャープ勧告に始まる地方分権に向けた議論がいかなるものであるのかを、地方分権推進委員会の提言なども含めてサーベイし、まとめた。第二に、地方分権に関する議論が活発になされながらも、なかなか実施段階に勧めない理由を、各地の首長へのアンケート結果なども参考にまとめた。第三に、現在の地方と中央政府の関係を把握するために、政府間トランスファーの前後における地方政府バジェットの状態から、日本の地方財政制度が生み出す歪みをとらえた。現在行われているトランスファーは、地域間の公平性を過剰に実現していることが導出される。またどのような目的で、政府間トランスファーが行われているのかを、回帰分析によって導出した。最後に、権限配分の観点から、地方政府として、支出及び歳入の権限が県と市町村の間でどのように配分されているのか、またその財政活動の範囲が、いかに中央政府の規制によって限定されたものとなっているのかを、整理した。これらの規制が生み出す非効率性を分析する経済学的ツールの紹介も行った。以上の分析をもとに、地方分権が今後行われるときに、その制度が最適な政府構造になるために満たさなければならない条件を提示した。 本年度の研究は、2年間の研究の前半部分ということもあり、現状の制度概要とその制度が生み出す問題点の認識にとどまっている。研究期間の後半(来年度)では、これらの制度が生み出す非効率性を計量経済学的に導出し、具体的な制度設計を行ってみたい。
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