2000 Fiscal Year Annual Research Report
次世代通信ネットワークの事業化に関する経営シミュレーション分析
Project/Area Number |
11730069
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
小林 稔 和光大学, 経済学部, 助教授 (50287926)
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Keywords | 情報 / 情報通信 / 高速ネットワーク / 次世代ネットワーク / IT / 情報技術 / 電気通信 / インターネット |
Research Abstract |
本研究は、高速広帯域な光ファイバーによる次世代通信ネットワーク事業について経営的なシミュレーションを加え、次世代通信ネットワーク事業を推進するための諸条件および問題点をより明確にすることが目的である。平成12年度は、平成11年度の研究成果を踏まえ、以下の項目について重点的に研究を進めた。 (1)次世代通信ネットワークを利用するユーザーのコスト負担を軽減する施策を具体的にモデルに内包し、施策の予算規模とユーザーコストの軽減との関係を計算できるようにモデルの変更を進めた。具体的には、事業者の資金調達金利の軽減策などを想定したシミュレーションをおこなった。 (2)技術革新を考慮した上で次世代通信事業の設備投資額を再度推定し、平成11〜12年度に構築したモデルにより詳細なシミュレーションとその結果の分析および検討を進めた。 (3)技術的に光ファイバーネットワークとは異なるADSLやCATVによる高速通信ネットワークの事業化について調査研究し、光ファイバーネットワークと技術的、経済的観点から比較検討を行い次世代通信事業の構築手法について考究した。 以上の研究の結果、以下のような結果が得られた。 1.まず、技術革新によって次世代通信ネットワーク事業に関連する光ファイバーやその他設備機器の調達コストが低下すると事業者の金融費用および減価償却費は削減され、結果として大幅な経常利益の増益効果を生み出すことが明確になった。 2.同様に本研究の結果から、資金調達金利が事業者に与える影響は極めて大きなものであり、事業の推進のためには設備投資資金の一部を一定期間無利子で融資する政策が有効であることを具体的な数値計算により示した。 本研究は今後、ADSLやCATVネットワークと光ファイバーネットワークの関係、加入者線の光ファイバー化と事業者間での共同利用などについて調査研究を進めていく予定である。
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[Publications] 廣松毅,平根直毅,小林稔,栗田学: "生産フロンティア関数モデルによる情報装備の効率性分析"日本社会情報学会第15回全国大会研究発表論文集. 221-226 (2000)
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[Publications] 廣松毅,栗田学,坪根直毅,小林稔,大平号声: "情報装備の労働投入代替効果関する定量分析"経営情報学会誌. 8巻.4号. 49-65 (2000)
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[Publications] 廣松毅,栗田学,小林稔,大平号声,坪根直毅: "情報技術と付加価値生産性"日本学術振興会-未来開拓学術研究推進事業「電子社会システム」デスカッションペーパー. NO.4. 1-12 (2000)
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[Publications] 小林稔,栗田学: "情報装備の企業経営に与える定量分析"平成11年度情報通信学会大会発表要旨. 90-97 (1999)
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[Publications] 小林稔: "「産業・企業の情報化とその効果に関する定量分析」"経営行動研究年報. 第8号. 27-32 (1999)
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[Publications] 和光大学経済学部: "シュムペーター・サイモンとその時代"和光大学社会経済研究所. 468 (2001)