1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11730072
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
大沼 宏 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (00292079)
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Keywords | 発生主義 / 将来Cash Flow / 税効果会計 / 経営者の予測要素 |
Research Abstract |
平成11年度の研究概要は、「税効果会計の理論的基礎の調査」という点に集約できる。まず「税効果会計」とは次のように説明される。当期税額の計算起点を従来の納税申告書から損益計算書に移し、損益計算書において算定される当期純利益に対して本来支払うべき当期税額はいくらであるかという視点から当期税額を計算する手法をいう。結果として実際に支払った当期税額と支払うべき当期税額との間に差異が生じた場合、この差額を「繰延税金資産」もしくは「繰延税金負債」として貸借対照表に計上する。 研究計画案において、税効果会計が平成12年から全面適用となる根拠について探ることとしていた。平成11年度はまさにこの理論的な根拠を調査することに費やした。私は税効果会計を適用する結果繰延税金資産または負債が計上される点に着目し、会計認識論からの分析を試みた。この繰延税金資産または負債の認識には、将来的にキャッシュフローが得られる(失う)という経営者の予測が根底にある。つまり税効果会計が適用されたということは、貸借対照表に経営者の将来への見込み、すなわち将来的にキャッシュフローが得られるという経営者の予測要素が強く反映されるようになるということなのである。とはいえ、この知見はあくまで規範的なアプローチによって得られたものである。税効果会計を適用した結果認識される繰延税金資産または負債が本当に将来のキャッシュフロー予測に役立つかどうかは、検証しない限り、その正当性は証明されない。次年度はこの知見を実証的アプローチによって検証する予定である。具体的に次年度の課題として、繰延税金資産及び負債が将来のキャッシュフロー予測に有用かどうかを明らかにする必要がある。
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Research Products
(1 results)