1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11730078
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小津 稚加子 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教授 (30214167)
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Keywords | 会計技術 / 移転 / フランス / チュニジア |
Research Abstract |
本研究では、会計技術の国際間移転としてフランスが影響を与えた諸国を観察対象としている。今年度はフランス経済圏の代表として、フランスとチュニジアを事例に選択した。文献研究および面接調査にもとづき、次のような暫定的結論をえた。 (1)チュニジアでは1960年代中葉に経済成長指標として、経済会計の概念にもとづく付加価値尺度、その企業会計レベルにおける付加価値の導入が必要と判断されていた。経済会計の影響を強く残した会計基準と1957年フランス・プランの利用が長く続いていたが,近年国際的に調和した会計基準が大蔵省から公表された。先進各国および英連邦振興諸国の調和化動向に触発されての判断である。 (2)フランスでは1996年に国家会計審議会の組織改革を実施し、会計規制委員会および緊急問題委員会を設置した。資本市場を取り巻く環境変化、とりわけ1998年法律に定める国際基準の適用に柔軟に対処するためである。 (3)これはフランスからチュニジアに対する影響の中断があり、その結果会計スキルは残しつつ、アングロサクソン型会計基準との組み合わせが生じてた(中間移転に移行中)こと、税務基準と企業会計基準が一体化したフランス型会計制度が資本市場のグローバル化により会計制度・会計技術の生産場所(国家会計審議会)が思考の転換を余儀なくされた事例となる。会計技術移転の視点からは、会計技術・制度を受容した経済社会の変化が受入主体と移転主体の両方で起こったことが示される。
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