1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 昇 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (10189079)
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Keywords | ホッジ構造 / トーラス / 双有理幾何 / ケーラー多様体 |
Research Abstract |
非特異多様体の正規交差因子の補集合に重み-1の実偏極を持つホッジ構造の変動Hが与えられているとき,その多様体上定義されたトーラスファイバー空間でその補集合上同じHを誘導するものについて研究した。 局所的な場合,Hのモノドロミーがべき単の場合に,基本トーラスファイバー空間の構成を調べた。アーベル多様体の退化の場合は偏極が整または有理的な場合に相当するが,2次形式による凸体分割を使ったトーラス埋込みによって半アーベル多様体の族を構成し,それを周期に関するアーベル群で割って求めるファイバー空間が得られる。我々の場合は単に実偏極なのでこの分割は利用できないが,シュミットのべき零軌道定理などの実ホッジ構造の変動の極限についての結果により,周期写像とモノドロミー表現を表す良い座標とそれに合う凸体分割が構成でき,それに伴うトーラスファイバー空間の代数的トーラスによる拡張(半アーベル多様体の族に対応する)と周期に関するアーベル群の作用が記述できた。 大域的な場合,局所モノドロミーが有限の場合を扱った。このとき同じホッジ構造の変動を持つ(印付き)局所ケーラー的トーラスファイバー空間の双有理同種類全体とHから決まるある層の一次のディーエタールコホモロジー群が同一視できることがわかった。すなわち,この局所ケーラー的トーラスファイバー空間は,重複ファイバーがあっても,ある種のトーサーと考えられるのである。またそのうちコホモロジー的ケーラー射全体はそのトーサーのチャーン類が位数有限となる元全体に対応することもわかった。
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