1999 Fiscal Year Annual Research Report
Kazhdan-Lusztig多項式の組合せ論的構造と対称関数との関連性解明
Project/Area Number |
11740019
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
田川 裕之 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (80283943)
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Keywords | Kazhdan-Lusztig多項式 / Coxeter群 / Brahat order |
Research Abstract |
Kazhdan-Lusztig多項式(以下K-L多項式と呼ぶ)はCoxeter群の2元に対して定義される多項式で,表現論的に非常に重要な意味をもち,全ての係数の非負性が予想されている.1次の係数に関しては,1994年に順序関係を用いたある組合せ論的数の評価式を用いて肯定的に証明された.従って,この問題の解決はCoxeter群の順序集合としての構造を解明する上での有益な評価式を得ることにつながると考えられる.そのためにも,K-L多項式よりも情報量が多いと考えられるweighted parabolic K-L多項式や,その逆行列の成分に値するinverse weighted parabolic K-L多項式の構造の研究は非常に重要である.また,K-L多項式との関連性について最近言及されている対称関数に関係した様々な組合せ論的対象の考察もこの問題を解決する上での鍵となると考えられている.以上の点を考慮した上で研究を行い,今年度は具体的に下記の結果が得られた.1.inverse weighted parabolic K-L多項式に対する帰納的な記述を証明した.この系として,他のinverse K-L多項式に対する帰納的な記述も得られた.さらに,ある条件を満たすinverse weighted parabolic K-L多項式は常に1であることも分かった.特別の場合として,Bruhat orderで小さいほうの元が単位元である全てのinverse K-L多項式は1であることが示された.2近年R.Proctorによって導入されたd-complete posetのhook length formulaのq-analogueを行った.この多項式とK-L多項式等の他の多項式との関連性については現在考察中である.
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