1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740028
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原 伸生 早稲田大学, 理工学部, 助手 (90298167)
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Keywords | フロベニウス写像 / tight closure / F-正則 / test ideal / multiplier ideal |
Research Abstract |
本研究は,代数幾何と可換環論とりわけtight closure理論,あるいは標数0と正標数の世界における各々の理論を,標数0からpへの還元等の翻訳手段を用いて,互いに対し有効にフィードバックすることを目的としており,本年度においては以下の結果を得た. 'Multiplier ideal'の概念は,特異点解消のdiscrepancyを用いて定義され,近年,代数幾何学における様々な問題に対して有効に応用されている.一方,tight closureの理論においては,与えられた環のすべてのtest elementにより生成されるイデアルとして'test ideal'が定義され重要な意義をもっている.論文'Geometric interpretatation of tight closure and test ideals'の主定理として,標数0の正規Q-Gorenstein環のmultiplier idealが,標数p>>0へ還元した環において,test idealと一致することが証明された. 上記の結果は,環のF-正則性と対数的端末特異点との対応を一般化するものと考えられるが,対数的端末特異点,対数的標準特異点の概念は,代数多様体とその上の有理係数因子の'対'(pair)に対して定義することができる.そこで,これらの特異点に対応する(と期待される)正標数の環のF-正則,F-純の概念を,環AとSpec Aの上の有理係数因子の'対'に拡張して定義した.この'対のF-特異点'に対して,'対'の対数的端末特異点等において知られている諸性質と類似の性質が成り立つことが予想され,現在,渡辺敬一氏(日大)と共同で研究を進めている. C.Hunekeにより定義されたstrong test idealの概念に関して,これがtest idealと一致するかという問題について,K.E.Smithとの共著論文を執筆中であり,10月に米国出張した際に,この論文に関する幾つかの問題点に関して議論し,また上述の'対のF-特異点'に関してMichigan大学のセミナーで講演した.
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Research Products
(1 results)