1999 Fiscal Year Annual Research Report
低次元のシンプレクティック多様体とコンタクト多様体の研究
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11740030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神田 雄高 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30280861)
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Keywords | 4次元シンプレクティック多様体 / 宮岡=ヤウの不等式 / ミルナー=ウッドの不等式 |
Research Abstract |
閉シンプレックティク 4次元多様体(M、ω)が条件C^1_2(M)>0を満たすとき、一般型代数曲面の場合と同様に、宮岡=ヤウの不等式C^1_2(M)【less than or equal】3C_2(M)が成り立つと予想し、その解決に向け予備的な考察をおこなった。なお、これは3・Sign(M)【less than or equal】X(M)・・・・(*)と同値である。 (M、ω)は適当な回数のブロウ=アップを施すと、CP^1上のリフシッツ束の構造を持つ。また一般の曲面Σg上の非特異な曲面束pであって、ファイバーの種数hが1以上のものに対して、(*)より弱い不等式3・Sign【less than or equal】2Xが成立することが知られている。 これらを踏まえ、上のような非特異な曲面束pに対して(*)の成立を示すべく、次のような考察を試みた。 Σgの基点x上のファイバーの整係数第1コホモロジーをHとする。Hは公叉形式によりシンプレックティク=ベクトル空間になるが、モノドロミーのHへの作用を考えることで、主Sp(2h,II)束Fを得る。これを平坦な接続を持つ主Sp(2h,JR)束と見ると、ホモトピー同値U(h)〓Sp(2h,JR)により、複素ベクトル束Vが同伴する。このとき(*)は<C_1(V),[Σg]>【less than or equal】(2-2h)X(Σg)と同値である。(h=1のとき正しいことは良く知られている。)さてSをジーゲル上半空間とすると、これは対称空間であり、特にケーラー多様体である。主Sp(2h,II)束Fは分類写像f : Σg〓S/Sp(2h,II)のホモトピー類を定める。この時適当な条件のもとで、fは極小曲面として実現され、簡単な微分幾何学的議論により、ある定数C_hが存在して<C_1[Σg](V),【less than or equal】C_hX(Σg)となることが従う。しかし、これは(*)よりずっと弱い。というのも今の議論は本質的に、平坦な主Sp(2h,JR)束にも適用されてしまうので、Sp(2h,II)とSp(2h,JR)の差を捉えていないからである。しかし、ミルナー=ウッドの不等式の自然な拡張になっている。
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