2000 Fiscal Year Annual Research Report
低次元のシンプレクティック多様体とコンタクト多様体の研究
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11740030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神田 雄高 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30280861)
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Keywords | シンプレクティック多様体 / モノポール方程式 / リフシッツ・ペンシル |
Research Abstract |
本年度はおもに4次元シンプレクティック多様体を中心として研究した。 まず、代数曲面の分類理論における一般型の類似として、閉4次元シンプレクティック多様体の分類における一般型を、次の条件を満たすものとして定義する。 第一チャーン類の自乗が正で、その上の自己双対な調和2形式の次元が2以上である そして一般型の閉4次元シンプレクティック多様体Xに対する以下の予想を立てた。 1)Xは宮岡=ヤウの不等式をみたす。 2)あるシンプレクティツク形式Wが存在し、カノニカル直線束の第一チャーン類Kは、Wのドラーム=コホモロジー類および、Wの与える概複素構造のカノニカル直線束の第一チャーン類K'と一致する。 さらにこの問題を攻略するために、次のようなアプローチを試みた。 1)第一の予想について;カノニカル直線束の第一チャーン類Kのポアンカレ双対は、ある擬正則曲線Dによって実現される。X-Dには自然なスピン構造が入る。そこで古田によるモノポール方程式の大域的倉西写像の構成を、X-Dのエンドに柱状のリーマン計量をいれた設定のもとで行なう。正確には、Dのアルバネーゼトーラスのある部分トーラスを低空間とする大域的倉西写像の族が得られる。これに同変k理論を適用して、Xのベッチ数と符号数に関する不等式をえる。 この方法では、Dの管状近傍の境界Mのエータ不変量(正確なエータ形式)を計算する必要がある。この方法は、Mに自由に働く自然なU(1)作用によって、関数空間をモード分解し、Mをこの作用で割った時得られるリーマン面S上のディラック作用素の指数の計算に帰着させる。残念ながらこの最後の部分の計算が完了していないので、得られる不等式の形がまだ求まっていない。 2)第二の予想について;出発点はドナルドソンによるリフシッツ=ペンシル束構造の存在定理である。この与えられたリフシッツ=ペンシル束構造に対し、ほとんどの所で横断的なリフシッツ=ペンシル束構造であって、その一般ファイバーのホモロジー類がKのポアンカレ双対の正数倍になっているものが存在すれば、欲しいシンプレクティック形式の存在は比較的容易に示せる。そのようなうまいリフシッツ=ペンシル束構造の構成問題の半分、すなわちファイバー上のペンシルの連続的な族をうまく構成する事は、低空間であるリーマン面上のあるグラスマニアン・ファイバー束に対して、うまい切断をとるという問題に言い直せる。この部分は克服できたが、残りの部分、すなわち各ファイバー上のペンシルに、有理曲線によるパラメーター付けを一斉に与えて、欲しいリフシッツ=ペンシルの構造を得る部分がまだできない。
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Research Products
(1 results)