2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和久井 道久 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60252574)
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Keywords | ホップ代数 / 3次元多様体 / テンソル圈 / リボンホップ代数 / 不変量 / 表現環 |
Research Abstract |
1990年代後半に、Hennings、Kauffman、Radfordの3氏はユニモジュラーなリボンホップ代数から3次元多様体の不変量を構成する方法を与えた。この研究の目標は、量子群とは別タイプのユニモヂュラーなリボンホップ代数の中で、低次元多様体論の研究に役立つもの(例えば、基本群だけで決まらない不変量)を発見することである。今年度は、標数0の代数閉体上で定義された11次元以下のホップ代数のうち、まだ、未決定であった8次元の半単純でないホップ代数のリボン構造を決定した。その結果、8次元の半単純でないリボンホップ代数の中では、Gelaki氏が以前調べていたユニモジュラーな分裂型リボンホップ代数を除いては、3次元多様体論にとって意義のある不変量はないことがわかった。この成果は、昨年夏、筑波大学で行われたつくばミニ・コンファレンス「ホップ代数と量子群」で発表された。 Gelaki氏のリボンホップ代数から得られるHennings-Kauffman-Radford不変量を詳しく調べるため、その既約表現を求めたが、今のところ不変量の正体は掴めていない。しかし、8次元の半単純でないホップ代数について、その直既約表現を求めることができて、その表現環の構造が明らかになったことと、つくばミニ・コンファレンスでの増岡彰氏から受けたアドバイスにより、次の結果が得られた:「2つの8次元のホップ代数が同型かどうかは、それらの表現のなすテンソル圏が同値かどうかによって完全に決定される」。これは、この一連の研究の副産物として得られた純粋に代数的な成果であり、現在、論文を準備中である。
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