1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740061
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 雅義 京都大学, 大学院・情報学研究科, 講師 (10273616)
|
Keywords | 逆問題 / 一意接続性 / Carleman評価 / 波動方程式 / exact controllability |
Research Abstract |
波動方程式などの双曲型偏微分方程式の場合,係数が解析的ならばHolmgrenの一意性定理から任意の非特性曲面を超えて一意接続ができる.また係数が時間方向にのみ解析的で空間方向についてはC^1級であっても,Tataruの特殊なCarleman評価を使えば任意の非特性曲面を越えて一意接続可能なことが示されている.一方,ある一点を共通の頂点とする波動方程式の特性曲面となるconeの内部において波動方程式の解が0ならば時空間全体で0であることはよく知られている事実である.今回,この問題を局所的な特殊な特性曲面を越えての一意接続の問題として捉え,波動方程式で空間3次元の場合にそれが成立することを示した.ここで解がH^1であることを仮定した.次に変数係数の低階項つきの波動方程式に対してcritical timeでのexact controllabilityを時空間における円柱領域で考察し,解に特異性が出ることを許して可能であることを示した.またこの解の特異性については方程式の主要項のみから決まる特定の表現を持ち,その形を同定した.ここで考えている円柱領域では,その空間領域となる底面の直径に対して時間方向の長さが一致しているもので通常の可制御性の問題と違いcritical timeでのexact controllabilityを考えなくてはならないものとなっている.最後に波動方程式の低階項を同定する逆問題の解の一意性について考察した.一般に偏微分方程式に対する逆問題については,その偏微分方程式に対してCarleman評価が可能ならば,その評価で得られる順問題の解の一意接続可能な範囲まで逆問題の解の一意性が得られることが分かっている.波動方程式などの双曲型偏微分数方程式に対しては通常と異なりPseudo-diiferentialなweightを用いてCarleman評価がなされているので方程式などの係数が時間方向に解析的である必要であり,一般には適用できない.ところが上述の2つの結果からその困難が解決さて予想されている通り,波動方程式の逆問題の解の一意性は波動方程式の任意の非特性曲面を越えて成立することが示された.
|
Research Products
(1 results)