1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土田 哲生 九州大学, 大学院・数理学系研究科, 助手 (10274432)
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Keywords | ディラック作用素 / 境界値逆問題 |
Research Abstract |
3次元空間の滑らかな有界領域上で、電磁場に対応するポテンシャルをもつディラック作用素を考える。適当なポテンシャルの仮定のもと、標準的な表現の場合、定義域の4成分のうち、第1,2成分にディリクレゼロの境界条件をつけた適当な定義域で自己共役作用素になる。これより、第1,2成分のディリクレ境界値を与える境界値問題が一意的に解けるとき、その解の第1,2成分の境界値に対し、第3,4成分の境界値を対応させる写像(D-D map)が定義される。ここでは境界値逆問題のひとつとして、一意牲、すなわちポテンシャルからこのD-Dmapの対応の単射性を調べた。境界値の関数空間をCarderon projectorを用いて厳密に構成し、この順境界値問題が自然な関数空間で解けるようになり、D-D mapの定義も自然になった。 前年度、ポテンシャルに滑らかさを仮定し、複素幾何光学解〈複素の周波数をもつ遠方で指数的に増大する解)の構成においてintertwining propertyといわれる性質を用い、一意性が証明された。また境界でスカラーポテンシャルが消えていないとき、D-D mapの表象の漸近展開を書きくだすことかでき、境界において磁場とスカラーポテンシャルの同定が可能となった。更に、一般の条件の下では、伝導体の逆問題における方法を応用しディラック方程式の特異解を構成し、その解の特異点を境界に近づける極限操作により境界のその点での同定が行われる。特異性を強くするに従い同定される導関数の次数も増える。
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