1999 Fiscal Year Annual Research Report
殻模型モンテカルロ法による原子核の準位密度の微視的・系統的研究
Project/Area Number |
11740137
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中田 仁 千葉大学, 理学部, 助教授 (80221448)
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Keywords | 核準位密度 / 殻模型 / 量子モンテカルロ法 / 中性子共鳴 |
Research Abstract |
今まで殻模型モンテカルロ法を用いて核準位密度を微視的に計算する方法を開発し,これをFe-Ge領域の安定な偶々核に適用してその有効性を示してきた。本年度はこれを発展させ,次のような成果を得た。 1.同じ方法を不安定核にも適用してFe-Ge領域の核準位密度の系統性をさらに詳しく調ベ,不安定核においても安定核で我々が指摘したものと同様の殻効果が現れることを,微視的立場から数値的に確かめた。 2.殻模型モンテカルロ法について,粒子数に関して再射影を行う方法を提案した。これによって,複数の核の準位密度が効率的に計算できるようになると共に,奇核や奇々核も扱えるようになった。この手法を用いてMn,Fe,Co同位体に対して奇核や奇々核も含めてその準位密度を微視的に調ベ,新たに次のような知見を得た。 (1) 中性子共鳴付近までの核準位密度は,奇核や奇々核においても殻模型による微視的立場から精度良く記述できる。これはまた,backshifted Bethe公式によくfitさせることができる。 (2) 一粒子準位密度パラメータが主として質量数によるとする古典的な理解は正しくない(即ち,isospin依存性を持つ)。また,奇核に対してbackshiftパラメータがほとんど0になるとするのも支持できない。殻効果などが反映するものと考えられる。 (3) 一粒子準位密度パラメータには,従来天体核計算で採用されてきた現象論的アプローチに見られるような核子数の偶奇性によるstaggeringはほとんど現れない。
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