2000 Fiscal Year Annual Research Report
陽子崩壊探索における大気ニュートリノバックグラウンド事象の研究
Project/Area Number |
11740139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩澤 真人 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (70272523)
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Keywords | 陽子崩壊 / 大気ニュートリノ / スーパーカミオカンデ / 核内効果 |
Research Abstract |
本年度では、1kt水チェレンコフ装置で検出ざれたニュートリノー水反応について詳細な検討が始まった。特にp→e^+π^0崩壊にとって重要なバックグラウンドとなる荷電カレントπ生成反応の断面積や角度分布についての詳細な研究が行われ、現有のモンテカルロと非常によい一致を示すことがわかった。 ニュートリノビームは99%がミューオンニュートリノなため、相互作用の結果、ミューオンと中性π中間子が観測されるイベントを特に調べた。これはp→e^+π^0崩壊にとって重要なバックグラウンドとなる、電子と中性π中間子が観測されるイベントのレプトンの世代を交換したものである。ミューオン+中性π中間子事象は2または3リング事象として観測されるが、それらに対し、陽子崩壊事象を選択する条件を課して、データとモンテカルロの比較を行った。使われたデータは1999年の11月のランまでのもので、ニュートリノビームを作るための陽子の数にして2.6×10^<18>の統計量となり、大気ニュートリノの量にして約40万トン年にもなる(スーパー神岡の現在のデータ量は8万トン年)。 観測されたデータに対して、普遍質量、総運動量などが再構成された。得られた分布はモンテカルロによりよく再現されることがわかった。また、陽子崩壊と同じ質量と運動量の選択条件をかけたところ1事象が信号として生き残ることがわかった。この数のモンテカルロとの詳細な比較は今後行われる予定である。しかし、スーパー神岡での期待されるバックグラウンドから、予想されるバックグラウンド事象は約2事象なため、この1事象という結果は統計エラーの範囲内であっていることが期待される。 今後は更にデータの統計量を増やすと共に、モンテカルロの改良を進めて、より高統計での精度よいバックグラウンドの研究を行う予定である。
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