1999 Fiscal Year Annual Research Report
偏極3Heガス標的を用いた不安定核のLSポテンシャルの解明
Project/Area Number |
11740149
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上野 秀樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50281118)
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Keywords | 偏極不活性ガス / 弾性散乱 / スピン軌道ポテンシャル / 不安定核 / 光ポンピング |
Research Abstract |
不安定核と偏極^3Heとの散乱実験からLSポテンシャルの情報を引き出し、その異常性を議論するためには、安定核と偏極^3Heの散乱データと比較する必要がある。しかし、安定核について、該当する研究データは無い。そこで、本年度は、まず安定核と偏極^3Heの散乱実験をする計画を立て、1)^3ガス標的装置の偏極度を実用レベルに上げる為の装置の改良、2)ビームを用いた散乱実験で、ガス標的の使用により特有に生ずる諸問題を解決する、の二点に焦点を絞った開発を行った。 まず、開発事項1)については次の成果を得た。装置の^3Heガスの核偏極生成法は、近年よく利用されるようになってきたスピン交換反応に基づいており、^3Heガスを微量のRbとともにガラス製のサンプル容器に封じ込め、レーザーを用いた光ポンピング法によりRbを原子偏極させた後、Rbと^3Heが起こす衝突型スピン交換反応と呼ばれる反応を通じてRbの原子偏極を^3He核偏極に移す。編極度のRbの数密度の依存性を調べた結果、高偏極を生成する指針を得ることが出来た。これによりRbによるレーザー光の吸収や^3Heへの偏極移行を効率良く行う事が可能となった。 次に、開発事項2)については以下の成果を得た。ビーム実験では、セルのガラスを構成するSiやOとの弾性散乱や非弾性散乱の発生によって、^3He弾性散乱の事象を同定するのが非常に困難になる。そこでLSポテンシャルの測定に先立ち、大阪大学核物理研究センターの高分解能スペクトログラGrand Raidenを利用して、入射エネルギーE=300MeVのαビームと無偏極^3Heガス標的を用いてテスト実験を行った。実験の結果、二重スリットを用いる事によって非常に低バックグラウンドのエネルギースペクトルが得られる事がわかり、実際にこの方法によって重心系で17度から38度の範囲で弾性散乱の微分断面積を得ることが出来た。
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[Publications] K.Harada,H.Ueno et al.: "Development of a spin-polarized ^3He gas target system for studies of optical spin-orbit potential"Proceedings of the RCNP workshop on spin polarized nuclear fusions, editor M. Tanaka, (RCNP, Osaka).. 64-70 (1999)
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[Publications] H.Ueno et al.: "(^6Li,^6He) reaction as a probe of spin-excitation strengths"Physics Letters B. 465. 67-73 (1999)