1999 Fiscal Year Annual Research Report
有限温度相転移近傍での中間子質量変化率の格子QCD計算
Project/Area Number |
11740159
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
高石 哲弥 広島経済大学, 経済学部, 助教授 (60299279)
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Keywords | 格子QCD計算 / 有限密度 / 有限温度相転移 / 質量変化率 / カイラルシメントリー |
Research Abstract |
有限密度、有限温度状態においてハドロンの質量がどのように影響を受けるかを格子QCD計算によって研究した。このハドロン質量への影響を調べることは、宇宙初期に実現したであろう高温高密度状態でのハドロンの振る舞いや、中性子星などの高密度星の中でのハドロンの振る舞いを知るために重要である。格子QCD計算では、現在のところ有限密度を直接実現して計算するのは困難であるので、ゼロ密度の近傍における質量の変化率を計算する。実行する計算プログラムは、R-アルゴリズムという手法のプログラムをスーパーコンピュータ用に開発した。有限温度相転移の起こる結合定数はポリアコフループをもとに決定した。パイオンに対して計算を実行し、質量変化率を求めた結果、この量はゼロ温度では小さな値であるが、有限温度相転移後では大きな値をとることがわかった。この結果は、ゼロ温度ではパイオンは南部・ゴールドストンボゾンの性質を持っており、有限温度相転移後はその性質が無くなり、カイラルシンメトリーが回復していることに対応していると考えられる。今後はパイオンだけではなくローメソンやバリオン等の粒子に対しても同様の研究を行う予定である。
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Research Products
(1 results)