1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740169
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中辻 寛 東京大学, 物性研究所, 助手 (80311629)
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Keywords | 超伝導 / 表面 / 走査トンネル顕微鏡 / 光電子分光 / Ag / Ge |
Research Abstract |
本研究は、極低温において超伝導を示すといわれるAg/Ge(100)表面について光電子分光及び極低温STM/STS測定を行い、表面にのみ存在する超伝導の表面構造と電子状態との相関を明らかにしようとするものである。平成11年度には以下のことを行った。まず、光電子分光において表面内殻準位シフトと価電子帯の電子構造を知るには放射光の使用が望ましいので、高エネルギー加速器研究機構の放射光施設に共同利用実験の申請をし、受理された。(PAC No.99G153)これを受けて先方との打ち合わせを数回行い、ビームラインで使用するサンプルホルダー、試料清浄化のための加熱機構、Ag蒸着源を製作した。また、蒸着温度により表面構造を制御できることが分かっているので、液体窒素温度付近での蒸着が可能な蒸着ベースを製作した。これは極低温STM装置でも使用可能である。次に、Ag島の成長のメカニズムを知るため、吸着初期段階での室温STM測定にすでにとりかかっている。これについては第一原理計算によるシミュレーションに協力し、すでにいくつかの知見を得ている。平成12年度にはオフラインでの準備実験ののち、数週間のビームタイムでフェルミ準位付近の電子状態、GeとAgの表面内殻準位シフト、また余裕があれば光電子回析の測定を、蒸着温度と蒸着量で決まるいくつかの表面構造の試料について行う。また同条件で作成した試料について極低温STM/STS測定を行い、Ag島と超伝導との相関を調べる予定である。
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