1999 Fiscal Year Annual Research Report
リラクサ-強誘電体における強誘電的マイクロドメインダイナミクスの研究
Project/Area Number |
11740175
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤城 興司 早稲田大学, 理工学部, 助手 (50298171)
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Keywords | リラクサー強誘電体 / PMN,PZN,PMN-PT,PZN-PT / 相転移ダイナミクス / 外場誘起相転移 / 極性微小領域 / 歪み場 / 線形・非線形光学 / X線・中性子線・電子線回折 |
Research Abstract |
光学的測定 リラクサー強誘電体の極性微小領域(PMR)と非極性の母相とのヘテロ構造について、その実体を探る目的で研究を推進している。これまでリラクサー強誘電体の代表としてPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3(PMN)を取り上げ、外場を印加した際の秩序パラメーター(分極)の時間発達が、非常に長い時間にわたる非線形緩和を示すことを光学的に見いだし報告してきたが、新たに(1)この過程が単調緩和過程と非線形緩和過程とに分離できること、(2)分離された非線形緩和の時間スケールを時定数τで規格化したプロットしなおすと、異なる温度であっても一つの特性曲線に一致すること、(3)この特性曲線はP.Chandraの一次相転移の時間遅れの理論に基づいて説明され得ることが明らかとなった。特に(3)点目を明らかとすることで、リラクサーが外場に応答する場合、長距離力である歪み場が重要な役割を果たしていることがはっきりする。現在この点についてさらなる解析を行っている。また、求まった時定数はアレニウスプロット上で線形の関係となる。このことから非線形緩和を示すヘテロ相のエネルギー構造が一部明らかとなった。同じ様な超長時間緩和現象をPbTiO_3を混晶したPMN(PMN_<1-x>/PT_x)にも見いだしている。様々な温度と電場、2種類のPT組成量(X=0,0.1)について蓄積されたデータの解析を進めている。 PMN/PT_<0.1>では、この非線形緩和を伴った秩序パラメーター発達過程とはまた別の強誘電相発達過程が見られることを発見した。前者は結晶全体に均一な発達を示すが、後者は相境界が結晶内の至る所でピンニングされつつ進行する。また前者の過程で発達した秩序相は菱面対称であるが、後者は正方晶あるいは単斜晶である。誘起された新たな相に対して更に詳しく調査し、非線形緩和を伴った過程との相違点を明らかにする必要があると考えている。 散乱法による測定 いくつかのリラクサー強誘電体は、あるPT混晶量以上で強誘電相転移を示す様になることが知られている。この様にPTを混晶することは、外場を印加してリラクサー強誘導体に長距離秩序を発達させることに対応する。Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3(PZN)はPT_<0.09>にMPBを有し、これ以上のPT量で強誘電相転移を示す。電子顕微鏡を用いて暗視野像によるメソスコピック構造の観察をPZN/PT_0およびPZN/PT_<0.09>の2種類のPZN/PTについて行った。両結晶の暗視野像にメソスコピックスケール(数百nmスケール)のツイード状のパターンが見いだされる。このツイードパターンは微視的構造であるPMR(Åスケール)の消失温度で消滅し、PMRと強く関連している。しかしながら、このツイードパターンはPZN/PT_<0.09>の強誘電状態においても、強誘電相の分域構造(μmスケール)に重畳して見いだされることが分かった。このように、いくつかの強誘電相転移を示すリラクサー結晶では、強誘電相にあっても巨視的構造と微視的構造とのヘテロ相共存状態にあることが指摘できる。MPBにあるリラクサーは巨大な電気機械結合係数を示すが、今回明らかとなったヘテロ相構造に起因するのではないかと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Fujishiro,Y.Uesu,Y.Yamada,B.Dkhil and J.-M.Kiat: "Optical and Structural Studies of Development of the Long-Range Order in Ferroelectric Relaxor [Pb(Mg1/3Nb2/3)O3]1-x-[PbTiO3]x and [Pb(Zn1/3Nb2/3)O3]1-x-[PbTiO3]x"J.Phys.Soc.Jpn.. (印刷予定). (2000)
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[Publications] Y.Yamada,T.Iwase,K.Fujishiro,Y.Uesu,et.al.: "Relaxor as Heterophase Fluctuation"Ferroelectrics. (印刷中). (2000)
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[Publications] T.Iwase,H.Tazawa,K.Fujishiro,Y.Uesu and Y.Yamada: "Neutron Scattering Study of Structural Cange in Relaxor Pb(Zn1/3Nb2/3)03"J.Phys.Chem.Sol.. 60. 1419-1421 (1999)