1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740199
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古崎 昭 京都大学, 基礎物理研究所, 助教授 (10238678)
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Keywords | 量子細線 / 電気抵抗 / アンダーソン局在 / 弱局在 / 梯子模型 |
Research Abstract |
半導体量子細線やカーボンナノチューブなどの準一次元的な電子系の量子輸送現象に対する不純物散乱の効果が、今年度の主要な研究課題であった。具体的には、準一次元の梯子型格子模型において電子の飛び移り積分がランダムになっているような、いわゆるランダムホッピング模型を解析的及び数値的に研究した。この種の模型では、通常のアンダーソン模型とは異なり、エネルギーバンドの中央で電気伝導やエネルギー状態密度に特異性があらわれることを明らかにした。この特異性はバンド中央での伝導チャンネル数が偶然であるか奇数であるかによって定性的に異なっている。すなわち、偶然チャンネルに対してはアンダーソン局在によって電気抵抗は量子細線の長さとともに指数関数的に減少するが、奇数チャンネルの場合には電気抵抗は量子細線の長さの平方根に比例して減少するだけである。また、量子細線が局在長よりも短く、電子の運動が拡散的な領域では、電気抵抗に対する弱局在補正がバンド中央で消失してしまうことを発見した。これらの結果は、乱れが弱くかつガウス分布に従っている模型を用いて、電子波の透過確率の分布関数に対するフォッカープランク方程式を導き、それを解析的に解くことにより得られた。さらに、乱れが強い場合について数値シミュレーションを行ない、得られた結果が上述の解析解と一致することを確認し、理論を普遍性を示した。
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