2000 Fiscal Year Annual Research Report
三端子容量法を用いた強相関電子系における精密熱膨張・磁歪測定
Project/Area Number |
11740202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 徹也 大阪大学, 低温センター, 助手 (90260629)
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Keywords | 磁歪 / 熱膨張 / 三端子容量法 / UPd_3 / UGa_2 / マルテンサイト変態 / 四極子転移 / バリアント |
Research Abstract |
1.UPd_3における四極子転移の研究 UPd_3における四極子転移のオーダーパラメータを明らかにする目的で純良単結晶における帯磁率,磁化,室温までの熱膨張,及び15テスラまでの磁歪測定を行った.転移点以上の高温域での帯磁率,熱膨張の振る舞いは四極子O_2^0の四極子間相互作用を考慮した結晶場モデルでよく説明されることが明らかになった.また転移温度の磁場依存性を測定し,単結晶における磁場―温度相図を作成した.これらの相図と中性子散乱実験で示唆されている四極子の対称性(空間的構造)をうまく説明できるモデルを検討し本論文として投稿中である. 2.UGa_2の構造相転移と磁気転移 UGa_2は六方晶の結晶構造を持ち,約122Kで強磁性転移すると共に,この磁気転移点以下で格子が僅かに斜方晶にひずむことが知られていた.熱膨張測定では強磁性発生に伴い大きな自発体積磁歪と思われる歪みが低温で観測された.また転移点以下の100K付近に熱膨張異常を発見した.この異常は磁場を容易軸方向[0001]に印加し磁気的にシングルドメインにして測定を行うと消失してしまうことから,面内のスピン構造の変化に起因するものではないかと結論された. 3.マルテンサイト変態を示す強磁性インバー合金における巨大磁歪 最近マルテンサイト相における内部双晶(バリアント)を磁場で回転・配向させることにより大きな磁歪を発現する現象に興味が持たれている.海外での研究が盛んでありNi_2MnGaに注目して研究が進められているが,国内での研究は少ない.本研究ではこのような現象を示す候補物質として鉄基系合金のFe_3PtとFe-Pd合金に着目し,その磁気特性を熱膨張,磁歪のみならず様々な測定により研究を行っている.Fe_3Ptでは4.2Kで約2%にも及ぶ初期磁歪(不可逆的磁歪)を観測し,以後の磁場印加では約0.5%の可逆的磁歪が観測された.低温の磁化測定やX線測定から,この大きな磁歪はマルテンサイトバリアントを磁場により制御(回転・配向)することにより発現していることが明らかになった.
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[Publications] 竹内徹也: "Magnetic and Thermal Properties of CeIrIn_5 and CeRhIn_5."J.Phys.Soc.Jpn.. Vol.70,No.3. (2001)
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[Publications] 竹内徹也: "High-Field Magnetization and Thermal Expansion of UPd_3."Physica B. 284 & 288. 1285-1286 (2000)
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[Publications] 竹内徹也: "Thermal Expansion and Magnetostriction of UPd_3."Physica B. 281 & 282. 602-603 (2000)
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[Publications] 本間徹生: "Magnetic and Fermi Surface Properties of the Ferromagnetic Compound UGa_2."J.Phys.Soc.Jpn.. Vol.69. 2647-2659 (2000)
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[Publications] 掛下知行: "Giant Magnetostriction in an Ordered Fe_3Pt Single Crystal Exhibiting a Martensitic Transformation."Appl.Phys.Lett.. 77. 1502-1504 (2000)
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[Publications] 掛下知行: "形状記憶合金のマルテンサイト変態に及ぼす磁場効果"日本AEM学会誌. Vol.8,No.4. 433-438 (2000)