1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多々良 源 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271529)
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Keywords | 磁気抵抗 / メゾスコピック / 磁壁 / ナノ磁性 / ナノコンタクト(接合) |
Research Abstract |
代表者は微小金属磁性体中の磁性と電気伝導特性の理論的研究を行ってきている。その中で3年ほど前に、低温での強磁性金属細線では、磁壁が電子の量子性を乱す効果により電気抵抗を減少させることがありうるという予言をした。この結果は、磁壁により電子が散乱され抵抗が増大するという古典的な直感と反するため、大きな議論をよび以後数多くの実験が行われているが、多くの異なった結果が得られておりまだ解決はしていない。このテーマに関しての理論的解析を進めた。 このほかの今年度の代表的な仕事は、微小な磁性金属同士を接触させた接合部に形成される小さな接合部での磁気抵抗効果である。このような接合に外部磁場を制御して磁化をねじった構造(磁壁)をつくった場合、磁気抵抗効果が著しく巨大であることを理論的に示し、ごく最近行われた実験の結果を説明した。これは、微小な接合では磁壁はその小さな接合部に押し込められているため、伝導電子と磁壁の結合は大変強いものになっているためである。計算によると磁壁により抵抗を300%程度変化させることが可能であり、通常の磁気抵抗効果が数%、また最近の多層膜系での巨大磁気抵抗が50%程度であることを考えると、微小接合での磁気抵抗ははるかに大きいものであることがわかった。磁性記憶素子としてこのような微小接合を用いると、現状で思われている記憶密度の上限をはるかにしのぐ高密度化が可能となると期待される。
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[Publications] A.Brataas,G.Tatara and G.Baner: "Ballistic and diffuse transport through a ferromagnetic domain wall"Phys. Rev.. B60. 3406-3413 (1999)
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[Publications] G.Tatara,Y-W.Zhao,M.Munoz and N.Garcia: "Domain Wall scattering explains 300% Ballistic magnetoconductance of nanocontacts"Phys. Rev. Lett.. 83. 2030-2033 (1999)
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[Publications] P.A.E.Jonkers,S.J.Pickering H.de Raedt,G.Tatara: "Quantum Transport in disordered mesoscopic ferromagnetic films"Phys. Rev.. B60. 15970-15974 (1999)