1999 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系Ce化合物の磁場誘起による非フェルミ液体的挙動
Project/Area Number |
11740207
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梅尾 和則 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (10223596)
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Keywords | 重い電子系 / 磁場 / スピンゆらぎ / メタ磁場転移 / スピン密度波 |
Research Abstract |
重い電子系反強磁性体Ce_7Ni_3(六方晶Th_7Fe_3型構造)の磁場誘起による非フェルミ液体的挙動の出現を確かめるために、固相電解法を施して純良化した単結晶試料の電気抵抗と比熱を10Tまでの磁場下で測定した。それらの研究で得られた成果は以下の通りである。 1.電気抵抗は1.8Kと0.7Kでの二段の磁気転移に起因する異常を示した後、0.35Kで130〜140μΩcmの大きな値を示した。磁化容易軸であるc軸方向の縦磁気抵抗は、0.2T付近でメタ磁性転移に起因して急減した後も大きく減少し、0.35K、9Tで-55%という大きな値を示した。10K以下のホール係数の温度変化はスキュー散乱に起因する異常ホール効果が支配的であった。また、中性子回折実験によれば、1.8K以下で3つの異なるCeサイトが大きさの異なるモーメントを持つ非整合なスピン密度波状態が実現する。これらのことからCe_7Ni_3の大きな残留抵抗は非整合なスピン密度波状態にともなうスピン揺らぎに起因すると考えられる。 2.0.5Tでの電気抵抗は4K以下で温度と共に減少したが、0.35Kでも110μΩcm程度の大きな値を示す。電気抵抗に非フェルミ液体的挙動が出現するかどうかを確かめるために、0.05Kまでの電気抵抗測定を計画中である。 3.0.35Kにおける比熱の温度比C/Tの値はメタ磁性転移点付近で急激に増大した。このことは磁気秩序が磁場によって消失する近傍でスピン揺らぎが大きくなっていることを示唆する。
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