1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740220
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福島 孝治 東京大学, 物性研究所, 助手 (80282606)
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Keywords | モンテカルロ法 / 拡張アンサンブル法 / 交換法 / スピングラス / 臨界現象 / ドメイン壁くりこみ群 / 剛性指数 |
Research Abstract |
本年度の実績は大きく以下の2つにまとめることができる。 1:自由エネルギー差の計算に対する拡張アンサンブルの方法の応用 相転移に関する情報は、興味ある系の秩序に共役な境界条件とそれをひねった境界条件との自由エネルギー差から得ることが出来る。しかし、通常のモンテカルロ法では自由エネルギーの計算は困難である。本研究では、拡張アンサンブルを用いることで効率よく自由エネルギー差を計算できるアルゴリズムを考案した。この方法は一般のスピン系への汎用性があり、離散自由度のイジング模型や連続自由度のベクトルスピン模型に対してプログラム開発が完了した。この方法を用いて、4次元スピングラス模型のスピングラス臨界現象を調べることに成功した。特に低温相における剛性指数を初めて評価することができた。 2:3次元ランダムボンドイジング模型の相図:ランダム固定点の存在 3次元イジング模型は、ランダムネスによって、その臨界現象が大きく変更されることが予想されているが、ランダムネス固有の臨界現象を支配する別の固定点の存在は直接的には分かっていない。本研究では、前項による方法でドメイン壁自由エネルギーを計算し、繰り込み群の考えに基づき、繰り込みのフローを調べることでランダム固定点の存在を明らかにすることができた。また、フラストレーションを含むランダムネスを導入した模型のフローが、希釈型のフラストレーションのないランダム系のそれとほぼ同じであり、ランダム固定点の位置は数値精度の範囲で一致していることがわかった。これはランダムネスの種類に依らず普遍的な固定点の存在を意味しており、ランダム系においても均一系で構成されてきた普遍性クラスの考え方があてはまることを示唆している。
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[Publications] Koji Hukushima: "Domain-Wall Free-Energy of Spin Glass Models : Numerical Method and Boundary Conditions"Physical Review E. 60. 3606-3613 (1999)
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[Publications] Koji Hukushima and H.Kawamura: "Chiral-Glass Transition and Replica Symmetry Breaking of a three-dimensional Heisenberg spin glass"Physical Review E. 61. R1008-R1011 (2000)
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[Publications] Koji Hukushima: "Random Fixed Point of Three-Dimensional Random-Bond Ising Models"Journal of Physical Society of Japan. 69. 631-634 (2000)
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[Publications] Koji Hukushima,Hajime Yoshino,Hajime Takayam: "Numerical Study of Aging Phenomena in Short-Ranged Spin Glasses"Progress of Theoretical Physics Supplement. 138. (2000)
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[Publications] Koji Hukushima: "Domain-Wall Renormalization-Group Study of Spin-Glass Models"Progress of Theoretical Physics Supplement. 138. (2000)